柚木麻子『Butter』結末と真相考察|木嶋佳苗事件モデル作の全貌
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物語の起点となるのは、結婚活動サイトを通じて複数の男性を殺害した容疑で逮捕された女性・梶井真奈子(カジマナ)への単独取材です。世間は彼女を「お世辞にも美人とは言えないのに、なぜ男たちを虜にできたのか」と好奇の目で嘲笑し、異常者として断罪していました。週刊誌の女性記者である町田里佳は、他社の記者たちがことごとく面会を断られるなか、ある奇策を用いて面会を取り付けます。それは、梶井が強いこだわりを持つ「料理のレシピ」について教えを請う手紙を送ることでした。
拘置所の面会室で対峙した梶井は、里佳の細身な体型や無頓着な生活習慣を鋭く見抜き、こう言い放ちます。「私を理解したいなら、まずは本当のバターを味わいなさい」。梶井の放つ強烈なカリスマ性と独自の美学に圧倒された里佳は、指定された最高級バターを口にした瞬間から、自らの価値観が音を立てて崩れていくのを感じ始めます。
本作の緊迫感を支えるBUTTERの登場人物たちは、それぞれが社会的な生きづらさを抱えています。
- 町田里佳(まちだ りか):週刊誌のエース記者。男性優位の職場環境で認めてもらうため、寝食を削り、女性性を押し殺して働いてきた。梶井との接触を通じて過食と自己嫌悪の狭間で激しく揺れ動く。
- 梶井真奈子(かじい まなこ):連続男性不審死事件の被告。ふくよかな体躯を誇り、一切の反省を見せない。卓越した料理の腕と弁舌で男たちから大金を貢がせていた。
- 篠井伶子(ささい れいこ):里佳の無二の親友。裕福な家庭で育ち専業主婦となるも、不妊治療の重圧や夫とのすれ違いから心に深い孤独を抱える。
- 誠司(せいじ):里佳の同棲相手。一見物分かりが良いパートナーに見えるが、無意識に里佳へ「都合の良い女」としての役割を押し付けている。
取材が進むにつれ、里佳だけでなく親友の伶子までもが梶井の心理的マニピュレーションの渦に巻き込まれ、平穏だった人間関係が劇的に変容していきます。