伝説のベーシストから怪演派俳優へ——岸部一徳が歩んだ熱狂と沈黙の半生

伝説のベーシストから怪演派俳優へ——岸部一徳が歩んだ熱狂と沈黙の半生にまつわる役立つ知識を分かりやすく発信ます。

1970年代半ば、音楽活動に行き詰まりを感じていた岸部に転機が訪れる。井上堯之バンドでの活動を最後にベーシストとしての第一線を退き、30歳を目前にして本格的に演技の世界へ飛び込む決断を下したのだ。きっかけは、映画監督の長谷川和彦や樹木希林らとの出会い、そして演出家からの強い勧めだった。

ミュージシャンとしての輝かしいキャリアを完全に捨て去り、一からの新人俳優としてのリスタート。当初はセリフの言い回しやカメラ前での立ち振る舞いに戸惑い、セリフの少ない脇役や悪役を静かに演じる日々が続いた。しかし、音楽で養われた天性の「リズム感」と、ただそこに立っているだけで漂う底知れぬ存在感は、次第に気鋭の監督たちの目に留まるようになる。無駄な感情表現を削ぎ落としたシュールで静謐な演技スタイルは、この下積み時代に確固たるものとなっていった。

鈴木 陽菜

鈴木 陽菜

テックライター兼ウェブディレクター

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