大阪のちょんの間を追う!飛田・松島新地の歴史と光影に迫るルポ
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この街が放つ異彩は、単なる歓楽街としての機能にとどまらない。建築史家であり風俗史にも造詣が深い井上章一氏は、こうした遊郭建築や街並みが持つ文化的な価値や、日本人の性の民俗学的な背景について度々論じてきた。唐破風の屋根や精巧な木彫り、二階へ続く艶やかな階段。それらは昭和初期の日本の職人技が凝縮された建築遺産でもある。
井上氏の指摘が示すように、日本の都市空間において「聖と俗」「公と私」が背中合わせに存在する構造は、海外の都市計画には見られない特徴だ。表通りの近代的なビル群からわずか一歩足を踏み入れるだけで現れる木造建築群は、日本人が近代化の過程で隠蔽しようとしながらも、完全には消し去ることができなかった欲望の歴史をそのまま形にした標本と言える。