太田裕美『九月の雨』歌詞の深層|松本隆×筒美京平が描いた切ない別れ
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太田裕美の通算9枚目のシングルとして1977年9月1日に発売された『九月の雨』は、オリコン週間チャートで最高7位を記録し、同年の『第28回NHK紅白歌合戦』でも披露された昭和歌謡の名曲です。前年に社会現象となった『木綿のハンカチーフ』(1975年12月発売)のピュアで素朴な少女像から一歩進み、より洗練された大人の女性の憂いとドラマ性を提示した転換点となる作品でした。
作詞を担当した松本隆は、本作において「雨」を単なる気象現象ではなく、主人公の心情を投影する鏡として極めて多重的に描いています。特に冒頭から展開される視覚的な情報量は圧倒的です。夕暮れ時のドライブ、曇ったガラス、リズミカルに動くワイパー、そして街のネオン――これらが聴き手の脳裏に即座に鮮明な映像を結びます。
音楽評論家の証言や当時の制作インタビューによると、松本隆は「歌詞を読んだだけで情景の色彩や気温、匂いまで伝わること」を強く意識していたと語られています。「九月」という時期の選定も象徴的です。夏という華やかで開放的な季節の終わりと、急速に冷え込んでいく秋の訪れが、冷めゆく二人の関係性と完璧に同期しています。