朝響く鳩の鳴き声の正体とは?キジバト・ドバトの違いと撃退の鉄則

朝響く鳩の鳴き声の正体とは?キジバト・ドバトの違いと撃退の鉄則について分かりやすく解説いたします。詳細な分析をご覧ください。

「なぜ、よりによって午前5時や6時という一番眠りたい時間に鳴き叫ぶのか」——。これは多くの住民が抱く共通の憤りである。しかし、鳩の鳴き声が朝うるさい理由には、鳥類の音響生物学に基づいた冷徹な力学が存在している。

鳥類学において、夜明け前後に鳥たちが一斉に鳴き交わす現象は「ドーン・コーラス(Dawn Chorus)」と呼ばれる。早朝は日中に比べて気温が低く、地面付近の空気が冷えて上空に暖かい空気の層ができる「逆転層」が発生しやすい。さらに人工的な道路騒音や風の乱気流が極めて少ないため、発した鳴き声の周波数が減衰せず、日中の約2倍から3倍の距離までクリアに届く。鳩のオスは自らの遺伝子の強健さと縄張りの存在を最も効率よく広範囲に誇示できる時間帯を本能的に熟知しており、エネルギー効率が最大化する早朝に集中して鳴くのである。

一方で、近年相談件数が急増しているのが鳩が夜に鳴く理由と真相だ。「昼行性であるはずの鳩が、真夜中にベランダで突然グルルルと鳴いて不気味だ」という声である。これには都市環境特有の2つの要因が絡んでいる。

第1の要因は、都市の「光害(ひかりがい)」による体内時計の錯乱だ。LED街路灯や高層マンションの外壁ライトアップ、看板の強い光が差し込むベランダでは、夜間でも完全な暗闇が形成されない。これにより視覚的な安心感を得た鳩が覚醒し、求愛や縄張り行動を誘発されているケースが確認されている。

第2の要因は、夜行性の天敵による威嚇やパニック反応だ。近年、都市部ではネズミやハクビシン、アライグマ、さらにはカラスが夜間・早朝に行動圏を広げている。眠っている鳩の至近距離をこれらの外敵が通過したり、地震の微細な初期微動(P波)や突風で止まり木が揺れたりした際、鳩は恐怖から身を守るために警戒音を発し、仲間へ危険を知らせようとする。つまり、夜間の鳴き声は「鳩がリラックスしている」のではなく、「そのベランダが夜間も鳩にとっての滞在拠点(ねぐら)としてすでに占拠されている」という危険信号にほかならない。

橋本 菜々子

橋本 菜々子

トレンドリサーチャー

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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