ナイフとフォークの正しい持ち方|英米の違いと大人の食事マナー新基準
ナイフとフォークの正しい持ち方|英米の違いと大人の食事マナー新基準の要点を丁寧に掘り下げてご紹介します。
フルコースディナーの席で初心者が戸惑いやすいのが、コースの進行に合わせて次々と登場する特殊なカトラリーの扱いです。特に、前菜からメインディッシュに至るコース料理食事作法では、食材の特性に応じた適切なナイフワークが求められます。
まず押さえておきたいのが、魚料理ナイフの使い方です。フィッシュナイフは一般的な肉用ナイフと異なり、刃先が幅広く、先端がヘラ(スパチュラ)のように薄く平らになっています。ノコギリ状の刃(セレーション)が付いていないのは、柔らかい魚の身を「切る」のではなく、「骨から身を外す」「皮を剥がす」「ソースをすくい取って身に乗せる」ために設計されているからです。魚料理でナイフをギコギコと前後に強く動かしてしまうと、繊細な身が崩れてソースと混ざり合い、皿の上が無残な状態になります。刃の腹を優しく滑らせるように扱いましょう。
続いて、メインの肉料理切り方マナーにおける最大のタブーは、「最初に肉を一口サイズにすべて切り刻んでしまう行為」です。一見すると後から食べるのが楽そうに見えますが、これは子供への配慮や介助が必要な場合を除き、マナー違反と見なされます。肉をあらかじめ細かく切断してしまうと、断面から大切な肉汁がすべて流れ出して温度が急激に下がり、シェフが丹精込めて仕上げた料理の味を損なってしまうためです。必ず「左端から1口分ずつ切り分け、切った分をその都度口に運ぶ」というリズムを徹底してください。
また、食事全体の印象を左右する周辺作法も見逃せません。スープスプーンの使い方では、イギリス式は「手前から奥へ」すくい、フランス式は「奥から手前へ」すくうのが伝統ですが、いずれの流派であっても「スプーンを口の中に丸ごと突っ込まず、側面に口をつけて音を立てずに流し込む」のが鉄則です。さらに、ナプキンの正しい使い方として、中座する際は「椅子の座面(または背もたれ)」に軽く畳んで置き、食事が完全に終わって退店する際は「皿の右側、テーブルの上に少し崩して置く」のが正式なサインです。退店時にナプキンを几帳面にピシッと折り畳んでしまうと、「料理やサービスに不満があった(もう二度と来ない)」という意思表示になってしまう歴史的慣習があるため注意が必要です。