延命治療とは?人工呼吸器や胃ろうの真実と家族が後悔しない選択基準
延命治療とは?人工呼吸器や胃ろうの真実と家族が後悔しない選択基準に関する疑問や疑問点を初心者にも親しみやすくまとめました。詳細を読もうことができます。
終末期医療の現場では、言葉の定義があいまいなまま感情的な議論が進んでしまうトラブルが後を絶ちません。最も混同されやすい概念を正しく整理することが不可欠です。
第一に、尊厳死とリビングウィルの違いです。「尊厳死」とは、回復の見込みがない末期状態において、無意味な延命治療を差し控え(不開始)、または中止し、人間としての尊厳を保ちながら迎える自然な死を指します。一方、「リビングウィル(生前意思表明書)」は、将来そうした状況に陥った際に尊厳死を望む旨を、意識が清明なうちに書き残した書面そのものを意味します。
第二に、日本国内における「安楽死」との決定的な相違点です。安楽死には、致死薬を投与して直接死期を早める「積極的安楽死」と、致死薬を本人が自ら服用する「医師自殺幇助」がありますが、これらは現行法制下で違法行為(嘱託殺人罪・自殺幇助罪)に問われます。日本で法的に議論・許容されているのは、不要な延命を行わずに天寿を全うさせる尊厳死(消極的安楽死とも分類される)に限られます。
第三に、終末期医療と緩和ケアの選択です。「延命治療を拒否すると、痛みや苦しみを放置されるのではないか」という不安は完全な誤解です。現代の緩和ケアは、がん末期だけでなく老衰や心不全、腎不全など非がん疾患の終末期にも幅広く適用されています。苦痛を取り除く医療(医療用麻薬による鎮痛、鎮静薬、呼吸苦の緩和)は積極的に提供され、痛みのない穏やかな時間を創出することが医療チームの主目的となります。
2018年に改訂され、医療現場の共通行動規範となっている厚生労働省終末期医療ガイドライン(人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン)においても、本人の意思を最優先し、医療・ケアチームと家族が繰り返し対話を重ねていくプロセスの重要性が明記されています。看取りの時期と本人の意思確認をどのタイミングで行うかが、残された日々の質を決定づけます。