さばの文化干しとは?天日干しとの決定的な違いと意外な由来を徹底解説
さばの文化干しとは?天日干しとの決定的な違いと意外な由来を徹底解説とはどのようなものなのか? 専門的な分析を丁寧に紐解いて紹介します。
「さばの文化干し」という名称を耳にして、「何か格式の高い文化的な伝統製法で作られているのか」と想像する人は少なくありません。しかし、水産加工業界の記録や東京都江東区の歴史資料を紐解くと、事実はまったく逆であることが分かります。「文化干し」とは、昭和の高度経済成長期に生まれた極めてモダンで最先端のハイテク加工魚を指す言葉でした。
発祥は1950年(昭和25年)創業の水産加工会社「東京仙印商店」に遡ります。当時、干物といえば木箱に詰められ、新聞紙に包まれて裸のまま店頭に並ぶのが当たり前でした。ハエや埃がたかりやすく、衛生的にも課題を抱えていた時代です。そこで同社は、当時最先端の高級包装資材であった「透明セロファン」で干物を1尾ずつ美しく包んで出荷しました。
当時、昭和の日本では「これまでの古い生活様式を一新するモダンでハイカラな新商品」に対して「文化」という冠をつける流行がありました。木造長屋に対する集合住宅を「文化住宅」、従来の和包丁を改良した万能包丁を「文化包丁」、洋風の暖房器具を「文化ストーブ」と呼んだのと全く同じ文脈です。セロファンに包まれた清潔で先進的な干物は「文化干し」と名付けられ、瞬く間に築地市場や消費者の間で高級ブランドとして大ヒットを記録しました。
その後、時代の進歩とともに魚の乾燥手法そのものが進化します。従来の屋外で行う「天日干し」に代わり、温度・湿度を厳密にコントロールする「冷温風乾燥機」が普及すると、自然任せではない画期的な人工乾燥手法そのものを「天日干しの対義語=文化干し」と呼ぶようになり、現在の定義が確立されました。