アメリカンコッカースパニエルを飼ってはいけない理由と噂の真相を解説
アメリカンコッカースパニエルを飼ってはいけない理由と噂の真相を解説の重要ポイントをお届けします。最新トレンドが詰まっています。
ぬいぐるみのように愛らしい姿で人気のアメリカンコッカースパニエルですが、「飼ってはいけない」と言われるのは一体なぜなのでしょうか。噂の真相や性格の特徴、寿命、知っておくべき決定的な理由を現場の獣医師やトリマーの視点から検証すると、単なるネット上の悪評ではなく、この犬種特有の身体的構造と歴史的ルーツに根差した「5つの高いハードル」が存在することがわかります。
第1の決定的な理由は、外耳炎になりやすい真相と、それに伴う慢性的な皮膚トラブルおよび体臭の管理難易度です。アメリカンコッカースパニエルは、長く重たい垂れ耳が耳道を完全に塞ぐ構造になっているうえ、耳の穴の内部にまで密生した毛が生えています。さらに遺伝的に皮脂の分泌が過剰になりやすい「脂漏症(しろうしょう)」の素因を持つ個体が多く、高温多湿な日本の気候下では耳の中が常に蒸れた状態になります。ペット保険大手・アニコム損保が公表している『家庭どうぶつ白書』の疾患統計データを参照しても、アメリカンコッカースパニエルの耳の疾患(外耳炎・中耳炎など)および皮膚疾患の診療請求割合は全犬種平均の約2.5倍から3倍近い高水準を記録しています。一度慢性化すると耳道が石灰化して塞がる「耳道狭窄」に至り、外科手術が必要になるケースすら珍しくありません。
第2の理由は、抜け毛や体臭の対策方法に求められる労力の大きさです。絹糸のように美しいダブルコート(二重構造の被毛)は、季節の変わり目である換毛期になると大量のアンダーコートが抜け落ちます。加えて、前述した皮脂分泌の多さから、シャンプーを2〜3週間怠るだけで皮脂が酸化し、独特の脂っぽい体臭(通称・コッカー臭)が強まります。室内を清潔に保ち体臭を抑えるには、週に3〜4回以上の丁寧なスリッカーブラッシング、毎日の耳の通気チェック、そして食事後の口周りや耳先の拭き取りが欠かせません。
第3の理由は、トリミング頻度とカットスタイルにかかる生涯コストです。アメリカンコッカースパニエルは被毛が伸び続ける犬種であり、放置すると毛玉がフェルト状に固まって皮膚炎を引き起こします。地面すれすれまで被毛を伸ばす伝統的な「フルコート(ショードッグスタイル)」や、背中を短く刈り上げて足元の飾り毛を残す「コッカーカット(ラムクリップ)」、さらには手入れのしやすさを重視した「サマーカット」や「テディベアカット」など多彩なカットスタイルを楽しめる反面、どのスタイルであっても最低でも3〜4週間に1回(年間12〜15回)のプロによるトリミングが必須です。1回あたりの料金相場は8,000円〜15,000円程度に達するため、美容代だけで年間10万〜18万円前後の固定費が確実に発生します。
第4の理由は、外見からは想像しにくい「底なしの運動量とハイパーな気質」です。ペットメディア『いぬのきもち 犬図鑑』やジャパンケネルクラブ(JKC)の分類において、本犬種は愛玩犬ではなく「ポインター・セター以外の鳥猟犬(ガンドッグ)」に属しています。山野を駆け回り、茂みから鳥を追い出していた狩猟本能が色濃く残っているため、毎日1日2回、各30分〜1時間程度の早歩きやドッグランでの自由運動をこなさなければエネルギーを発散できません。運動不足が続くと、家具を噛み砕く破壊行動や無駄吠えへと直結します。
第5の理由は、極度の寂しがり屋ゆえの「分離不安症」リスクと、白内障などの眼科疾患の多さです。人間と共同作業を行ってきた歴史から、飼い主への依存度が非常に高く、日中8時間以上の留守番が常態化する家庭ではパニックから自傷行為(足先を舐め壊す趾間皮膚炎など)を起こす個体が少なくありません。また、若年性白内障や緑内障、第三眼瞼腺が飛び出す「チェリーアイ」の好発犬種でもあり、日々の点眼ケアや高額な眼科医療費への備えが求められます。