足抜けとは?遊郭の凄惨な逃亡劇からヤクザ離脱の現在まで徹底解剖
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時代が下り、昭和から平成、そして令和の現代に至る過程で「足抜け」の代名詞となったのが暴力団(ヤクザ)組織からの脱退である。暴力団対策法や全国の暴力団排除条例(暴排条例)が厳格に運用される現在、組員数は激減を続けているが、その実情は決して一枚岩ではない。
取材現場で聞かれるヤクザ足抜け理由の筆頭は、経済的困窮だ。銀行口座の開設拒否、不動産契約の不可、家族への締め付けなど、暴排条例の徹底によって組員としての生活は困窮を極めている。かつてのようなシノギ(資金獲得活動)が壊滅する中、幹部への上納金(会費)を払えなくなった下部構成員や、高齢化によって将来に絶望したベテラン組員が離脱を望むケースが後を絶たない。
しかし、ヤクザ社会において無断の暴力団足抜けは、絶対的な掟破りを意味した。かつては指詰めや激しい私的制裁、親族への脅迫が日常茶飯事であり、組織を抜けることは文字通り命を狙われることを意味していた。警察庁の指導や暴力追放運動推進センター(暴追センター)の尽力により、現在は「偽装離脱」を防ぎつつ正式に組織から脱退届を出させる組織離脱の手続きが整備されてはいるものの、現実はなお厳しい。
最大の障害となっているのが、いわゆる「元暴5年条項」である。組織を正式に離脱しても、おおむね5年間は「暴力団関係者」と同等に扱われ、銀行口座の開設やアパートの賃貸契約、スマートフォンの新規契約が原則として拒否される。この社会的制約が原因で、せっかく組織を足抜けした元組員が社会復帰を果たせず、アンダーグラウンドな犯罪組織(匿名・流動型犯罪グループ=トクリュウなど)に再吸収されてしまう負の連鎖が深刻な課題として議論されている。