甲状腺全摘出で後悔する理由とは?術後の声・体重変化と生涯服用の実態
甲状腺全摘出で後悔する理由とは?術後の声・体重変化と生涯服用の実態について押さえておきたい 事実を厳選して解説いたします。
手術を受けるにあたり、最も冷静に把握すべきは甲状腺全摘出 術後後遺症の真相です。合併症の多くは一時的なものですが、確率として永続的な障害が残るリスクもゼロではありません。
声帯の運動を司る「反回神経」は甲状腺の背面に密着するように走行しています。日本内分泌外科学会などの集計データによると、反回神経の切断を伴わない手術であっても、神経の牽引や術後の浮腫によって生じる一過性の甲状腺全摘出 声の変化と嗄声リスクは数パーセントから10パーセント前後に認められます。その大部分は3か月から半年程度で自然回復しますが、永続的な反回神経麻痺が残る割合もおよそ1〜2%存在します。また、高音の発声や声の張りを司る「上喉頭神経外枝」への影響によって、かすれ声にはならずとも「以前のように大声が出ない」「声が裏返る」といった変化が生じることがあります。
一方、血液中のカルシウムバランスを整える副甲状腺の温存も難度の高い手技です。副甲状腺は左右に2個ずつ、計4個存在しますが、米粒ほどの極小組織であり、血流が非常に繊細です。甲状腺を全摘出する際、副甲状腺を傷つけないよう慎重に剥離しても、術後に一過性の低カルシウム血症を起こす頻度は約15〜30%に達します。手足のしびれや筋肉のこわばりが生じた場合は、カルシウム製剤や活性型ビタミンD3製剤の速やかな補充が必要です。永続的な副甲状腺機能低下症に移行する確率は1〜3%程度と低いものの、これに該当した場合はチラージンに加えてカルシウム関連製剤の生涯服用が必要になります。