「鼻が高い」の本当の意味とは?鼻にかけるとの決定的な違いと使い方
「鼻が高い」の本当の意味とは?鼻にかけるとの決定的な違いと使い方の真相について、分かりやすい解説を取りまとめてご紹介します。
なぜ自尊心や誇らしさを表現する身体部位として、「目」や「口」ではなく「鼻」が選ばれたのでしょうか。そのルーツを辿ると、日本の身体観と言語史における明確な記録に行き当たります。
文献上の初出として最も確かな証拠とされているのが、延宝6年(1678年)に刊行された遊女評判記『色道大鏡(しきどうおおかがみ)』第15巻の一節です。
「とり付もてはやす故に、此客鼻たかくなりて」
周囲から持て囃され、チヤホヤされた客がすっかり得意気になり、偉そうな態度を取る様子を生々しく活写しています。すでに江戸時代前期の時点で、「鼻が高くなる」という身体的比喩が世間に広く定着していたことが窺えます。
民俗学および身体文化史の知見によれば、顔の中心に位置し、前方に最も突出している鼻は、古来より人間の気概・自尊心・生命力の象徴とみなされてきました。民間信仰に登場する「天狗(てんぐ)」の異様なまでに高い鼻が傲慢さと並外れた神通力の象徴であるように、日本人は古くから「鼻」に個人のアイデンティティやプライドを投影してきたのです。胸を張り、顔を上げて前を向くと、自ずと鼻先が上を向くという物理的な姿勢の変化も、この慣用句の説得力を補強しています。