トラウマインフォームドケアとは?医療現場を激変させた支援の新常識

トラウマインフォームドケアとは?医療現場を激変させた支援の新常識の具体的な内容に迫る! わかりやすい言葉でご紹介しています。

トラウマインフォームドケアが現場に導入されたことで、具体的に何が変わったのか。医療機関や教育機関のリアルな動向を追うと、現場の切実な葛藤と劇的な改善成果が見えてくる。

精神科・一般病棟の看護現場におけるパラダイムシフト

精神科医療の現場では長年、興奮状態の患者に対する隔離・身体拘束が議論の的となってきた。ある精神科救急病棟の主任看護師は、現場の手記で次のように率直な心情を明かしている。

「かつては患者さんの暴言に対し、『規則を守ってください』と力で制止していました。しかしそれは、過去に支配や暴力を受けてきた患者さんにとって、当時の加害者を再現する行為そのものだったのです。TIC研修を導入して以降、採血一つ取るときでも『針を刺します』ではなく『今から消毒をしますね。痛かったら左手を挙げてください。いつでも止められますよ』と選択肢と主導権を渡すようにしました。これだけで、点滴自己抜去や暴言のインシデントが約4割減少したのです」

身体のプライベートゾーンに触れる処置や、閉鎖的な空間での処置は、性的トラウマを持つ患者にとって耐え難い侵襲となる。事前に何をするか丁寧に説明し、背後から急に触れない、ドアの鍵を突然閉めないといった日常の小さな配慮が、再トラウマ化予防の防波堤となる。

学校教育の現場における実践:問題児を「被災者」として見る

公立小中学校や高校の教員間でも、生徒指導の現場でトラウマインフォームドケアを基盤とした学級経営が広がっている。授業中に突然机を蹴飛ばして教室を飛び出す生徒や、極端な無気力に陥る生徒に対し、従来の「叱責・反省文」は逆効果にしかならない。

ある中学校の養護教諭は、コミュニティ内の研究発表でこう証言する。「荒れる生徒の家庭背景を辿ると、激しいネグレクトや親のDVを目撃しているケースが非常に多い。彼らの交感神経は常に『逃走・闘争反応』の過覚醒状態にあるか、あるいは神経がシャットダウンする『凍結(解離)』状態にあります。怒鳴り声は彼らの防衛本能を刺激するだけです。廊下に『安全にクールダウンできるクッション付きの小部屋』を設け、落ち着くまで言葉をかけずに見守る運用に変えたところ、授業妨害による警察通報件数がゼロになりました」。

田中 結衣

田中 結衣

デジタルマーケティングコンサルタント

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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