「Aka-博田法」の真実|腰痛難民を救う奇跡の治療か過剰な幻想か
「Aka-博田法」の真実|腰痛難民を救う奇跡の治療か過剰な幻想かを徹底追究! 読者が気になる トピックの裏側を凝縮して配信します。
整形外科の世界で長年タブー視され、あるいは見過ごされてきた部位がある。骨盤の骨である仙骨と腸骨を繋ぐ「仙腸関節」だ。従来の解剖学・整形外科学の教科書において、強固な靭帯に囲まれた仙腸関節は「ほとんど動かない不動関節」と定義づけられてきた。しかし、この常識に異を唱え、革新的な治療体系へと昇華させたのが、リハビリテーション医の博田節夫医師が1979年に考案したAKA博田法(関節運動学的アプローチ:Arthrokinematic Approach)である。
関節の動きには、曲げ伸ばしのような目に見える大きな骨の運動(構成運動)だけでなく、関節包の内部で骨頭が微細に滑ったり転がったりする「関節包内運動」が存在する。その移動量はわずか1〜2ミリ程度にすぎない。この微細な動きに引っかかりやロッキングが生じると、神経反射を介して周囲の筋肉に異常な緊張が生じ、激痛や可動域制限が引き起こされる。これが仙腸関節機能障害の正体である。
臨床の現場で特に注目されるのが、足に突き刺さるような痺れや痛みを伴う坐骨神経痛との関連だ。画像診断で軽度の椎間板ヘルニアが見つかると、多くの医師はそれを神経痛の元凶と診断しがちである。だが実際には、ヘルニア自体は無症状の健常者にも高確率で存在し、真の痛みの発生源は仙腸関節の引っかかりによる「関連痛(偽性坐骨神経痛)」であるケースが少なくない。AKA-博田法は、治療者の指先で数グラムから数百グラムという羽毛のような繊細な圧力を加え、このミリ単位の狂いをミリ秒単位で解消していく。メスも麻酔も使わず、解剖学的な運動連鎖を回復させる点が、この治療法の核心である。