マリーナベイサンズ倒壊の噂は嘘?傾き疑惑とコナン映画の真相を追う
マリーナベイサンズ倒壊の噂は嘘?傾き疑惑とコナン映画の真相を追うの真相や最新動向に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。
2010年の華々しい開業以来、シンガポールの観光産業を牽引し続ける巨大建築に、なぜ「倒壊」「崩壊」という不吉なレッテルが貼られてしまったのでしょうか。現地関係者への取材やネット空間の言説分析を行うと、主に3つの導火線が特定できます。
最大の火種となったのが、2019年に公開され興行収入93億円を超える大ヒットを記録した劇場版『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』です。物語の舞台となったシンガポールで、クライマックスにマリーナベイ・サンズの象徴である地上200メートルの空中庭園「サンズ・スカイパーク」が爆破・崩落し、海へと滑落していくド迫力のスペクタクル映像が描かれました。このシーンのインパクトがあまりに強烈だったため、Twitter(現X)やTikTokなどのSNS上で「コナンでマリーナベイサンズが倒壊した」という文脈が切り取られ、映画を観ていない層や海外のネットユーザーの間で「現実に崩落事故が起きたのか」と錯覚混じりの検索行動が連鎖したのです。
二つ目の要因は、外観から受ける強烈な視覚的違和感、すなわち「傾き」に対する大衆の疑念です。タワー1の西側構造物は、最大で傾斜角52度という極端な斜め設計を採用しています。イタリアのピサの斜塔の傾斜角が約3.97度であることを考えると、52度という角度がいかに異常であるかが分かります。建築の予備知識を持たない旅行者が地上から見上げた際、「地盤沈下で建物が倒れかけているのではないか」という生理的な恐怖や錯覚を覚え、それがネット掲示板などで「マリーナベイサンズ 欠陥 噂」として再生産されていきました。
三つ目の理由は、施工を担った企業をめぐるネット上の言説です。タワー棟の施工を手がけたのは韓国の双竜建設(サンヨン建設)でした。匿名掲示板やまとめサイトにおいて、「韓国の建設会社が担当したから危ない」「過去の国内事故の二の舞になる」といった政治的・民族的バイアスを帯びた憶測が一人歩きし、事実に基づかないネガティブキャンペーンが長年放置されてきた歴史的背景が存在します。