前鋸筋の作用と解剖学の真相|腕が上がらない原因と翼状肩甲を徹底解説
前鋸筋の作用と解剖学の真相|腕が上がらない原因と翼状肩甲を徹底解説の概要と注目ポイントをわかりやすく整理しました。
前鋸筋の作用を正しく理解するためには、まずそのユニークな位置関係と構造を把握しておく必要があります。前鋸筋は、脇の下から胸の側面にかけて鋸(のこぎり)の刃のようなギザギザした形状で付着している薄く広い板状の筋肉です。
起始は第1〜第8(または第9)肋骨の外側面であり、そこから後方へと走行して肩甲骨の内側をくぐり抜け、肩甲骨の内側縁全域および下角に停止します。解剖学的には上部・中部・下部の3つの線維群に大別され、それぞれが異なるベクトルで肩甲骨を制御しています。
この前鋸筋を支配しているのが、頸神経叢から分岐する長胸神経(C5〜C7)です。長胸神経は斜角筋の間を貫通し、胸郭の表面近くという比較的浅い層を走行して前鋸筋に至るという解剖学的特徴を持ちます。この走行ルートの特性上、外部からの打撲や圧迫、あるいはリュックサックなどの重い荷物による長時間の牽引ストレスを受けやすく、末梢神経障害を引き起こしやすい弱点を持っています。