犬のマラセチア耳炎が治らない本当の理由と黒い耳垢の真相
犬のマラセチア耳炎が治らない本当の理由と黒い耳垢の真相に関する深掘り解説を丁寧に解説いたします。
愛犬の耳に生じる強烈な臭いと特徴的な耳垢の正体は、真菌の一種である「マラセチア・パキデルマティス(Malassezia pachydermatis)」が異常増殖したことによる代謝産物です。マラセチアは本来、犬の皮膚や耳道内にごく普通に存在する常在菌であり、普段は何の悪さもしません。しかし、耳道内の皮脂分泌が急増したり、湿度が著しく高くなったりすると、皮脂をエサにして爆発的に数を増やします。
マラセチアが皮脂を分解する過程で遊離脂肪酸が生成され、これがツンとした酸っぱい臭いやチーズ、あるいは古い油が酸化したような独特の異臭を放ちます。同時に、炎症によって分泌された過剰な皮脂と剥がれ落ちた角質、そして増殖した菌体が混ざり合い、湿り気のある黒色や濃い茶褐色の耳垢となって耳道を塞ぎます。
この菌の増殖に伴って激しい痒みと熱感が生じるため、犬は激しく頭を振る(ヘッドシェイク)、耳の付け根を足で執拗に掻く、壁や絨毯に耳をこすりつけるといった仕草を見せます。放置すると耳の皮膚が肥厚して象の肌のように硬くなり、耳道そのものが狭小化して空気の通り道が完全に遮断されてしまうため、早期の正確な診断が欠かせません。