インフレとデフレはどっちがいい?物価高の真実と生活を守る決断基準
インフレとデフレはどっちがいい?物価高の真実と生活を守る決断基準の基礎知識と応用に迫る! わかりやすい言葉でご紹介しています。
「インフレとデフレ、結局のところ庶民にとってどちらがいいのか」。この問いに対する結論を端的に言えば、「適度なインフレのほうが、長期的な国民生活にとっては確実にマシ」という冷徹な現実に突き当たります。多くの人が「安く買えるデフレのほうが生活しやすい」と錯覚しがちですが、そこには「消費者」としての視点しかなく、「給料を受け取る労働者」としての視点が完全に抜け落ちています。
物価が下がるデフレ局面では、日々の生活費こそ安く抑えられます。ところが、モノが売れない企業は利益を削り、最終的には人件費の削減に踏み切らざるを得ません。昇給の凍結、ボーナスカット、非正規雇用の拡大、さらにはリストラといった形で、自らの収入が物価以上に目減りしていくのです。事実、1990年代後半から約30年に及んだ日本のデフレ期には、牛丼が200円台で食べられた反面、平均実質年収は下がり続け、若年層の正規雇用が極端に制限される「就職氷河期」という深刻な爪痕を残しました。
一方で、モノの値段が上がるインフレ局面では、一時的に家計の支出が増加して苦痛を伴います。しかし、企業の売上・利益が増加し、それが賃上げへと還元されるサイクルさえ確立できれば、国全体のパイは拡大します。インフレは「経済の新陳代謝を促す荒治療」であり、デフレは「痛みを感じないまま徐々に体力を奪われていく壊疽(えそ)」に等しいのです。どちらも極端であれば猛毒ですが、経済学や歴史の教訓に照らせば、「年率2%前後の緩やかなインフレ」こそが雇用を守り、豊かな生活を維持するための絶対条件とされています。