肉じゃがの肉は何が正解?東西の違いとプロが選ぶ最適部位
肉じゃがの肉は何が正解?東西の違いとプロが選ぶ最適部位の詳細について、専門知識を取りまとめてご紹介します。
この地域差が生まれた要因は、単なる味の好みではなく、明治期から昭和初期にかけて形成された日本の農耕形態と畜産業の歴史に直結しています。
関西を中心とする西日本地域では、古くから急峻な地形や水田耕作の役牛として但馬牛をはじめとする和牛(役肉兼用牛)が飼育されていました。農作業を終えた牛を食用に転用する流通ルートが早期に確立していたため、関西において単に「肉」と言えば牛肉を指すほど、日常的な食肉文化として定着したのです。
一方の関東をはじめとする東日本地域では、農耕や運搬の主役は「馬」でした。明治以降、都市部への人口集中に伴い深刻なタンパク質不足が生じた際、成長が早く狭い土地でも効率的に飼育できる「豚」の大規模養豚が推奨されました。特に関東大震災以降、安価で栄養価の高い豚肉が急速に大衆の食卓を支える存在となった歴史があります。
肉じゃがの発祥に関しては、海軍の英雄である東郷平八郎がイギリス留学中に食したビーフシチューの味を艦上食として再現させようとした「海軍発祥説(京都府舞鶴市や広島県呉市が発祥地として名乗りを上げています)」が広く知られています。このルーツを辿れば原型は牛肉でしたが、東日本に普及する過程で手に入りやすい豚肉へと自然に適応していったのが真相です。