優越的地位の濫用はどこから違法?下請法との違いと最新摘発事例
優越的地位の濫用はどこから違法?下請法との違いと最新摘発事例とはどんな影響があるのか? 詳しい意味を整理してお届けします。
多くの企業法務や営業現場で信じ込まれている危険な俗説があります。それは「双方が署名捺印した契約書や覚書が存在する以上、民法上の契約自由の原則が優先され、法的に問題視される筋合いはない」という論理です。断言しますが、これは独占禁止法の実務において完全に誤った錯覚です。
経済法における「優越的地位の濫用」という概念そのものが、契約自由の原則がもたらす弊害を矯正するために作られた規制です。発注元の提示した過酷な条件に対して、受注側が「この条件を飲まなければ来月の売上が消え、会社が倒産する」という圧倒的な格差のもとで署名した場合、その合意は真意による自由な意思決定とは評価されません。裁判例や公取委の審決においても、押印された合意書の存在を理由に濫用行為が正当化された例は皆無に等しいのが実情です。
もう一つの深刻な誤解が「下請け側が自発的に値下げを申し出てきた」という主張です。発注元が「他社はもっと安い単価を出してきている」「予算枠が決まっているから何とかしてほしい」と繰り返し圧力をかけた結果、受注側が苦肉の策として提出した値引き要請書は、実態として「買いたたきの強要」と認定されます。書類の形式だけを整えて実態の不平等を覆い隠す手口は、公取委の綿密な電子メール監査や関係者ヒアリングによって容易に見破られます。