取引先の要求は違法?優越的地位の濫用の判断基準と下請法との違い

取引先の要求は違法?優越的地位の濫用の判断基準と下請法との違いとはどのようなものなのか? 主要なファクトを整理してお届けします。

ネット上の掲示板やSNSでは、優越的地位の濫用に関して根拠の薄い誤解が散見されます。最も危険な誤解は「独占禁止法は巨大な独占企業だけを対象にした法律であり、中小企業同士の取引には関係ない」という思い込みです。

実際には、売上規模が数億円の中小企業であっても、発注を受ける側が売上の過半をその企業に依存していれば、明白な優越的地位が成立します。中小企業庁や公取委の相談現場には、中小メーカーが零細の加工工場に対して一方的な仕様変更の追加費用を支払わないといったトラブルが日常的に持ち込まれており、中小企業であっても加害者として告発されるリスクを常に抱えています。

もう一つの典型的な誤解が「契約書に同意のサインをもらっていれば、合意の上だから違法にはならない」という理屈です。法的な観点から言えば、優越的地位にある側から持ちかけられた不利益な条件について、たとえ書面上の合意や「覚書」が存在していたとしても、それが優越的な力関係を背景に事実上強制されたものであれば、その合意自体が無効とみなされます。独占禁止法の規制は当事者の形式的な意思表示を超えて、実質的な公正性を問う強行規定だからです。

摘発を受けた場合の優越的地位の濫用罰則は決して軽微ではありません。排除措置命令による企業イメージの失墜にとどまらず、違反行為の対象となった取引額に基づき算定される課徴金納付命令が下されます。課徴金算定率は対象売上高の1%と定められており、長期にわたる取引であれば数千万円から数十億円のキャッシュが吹き飛ぶ計算です。さらに、被害を受けた取引先から民法709条(不法行為責任)に基づく損害賠償請求訴訟を提起され、不当に搾取した値引き額や協賛金の全額返還を命じられた確定判決も複数存在します。

山田 真由

山田 真由

自動車・モビリティライター

暮らしを豊かにする便利アイテムや時短アイデアを中心に、実用的な情報をお届けします。

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