前立腺がんの原因はなぜ?急増の真相と初期症状・Psa基準値を解説
前立腺がんの原因はなぜ?急増の真相と初期症状・Psa基準値を解説についての疑問解決ガイドをご紹介します。
中高年男性の多くが直面する排尿トラブルの代表格として「前立腺肥大症」がありますが、前立腺がんと前立腺肥大症は病理学的にまったく異なる疾患です。両者の最も決定的な差異は、病変が発生する解剖学的な「部位(ゾーン)」にあります。
前立腺はクルミほどの大きさの臓器ですが、尿道を取り囲む中心部の「内腺(移行領域)」と、外側を包む「外腺(辺縁領域)」に大別されます。良性の前立腺肥大症は内腺から発生するため、早期から尿道を圧迫し、「尿の出が悪い」「夜間に何度もトイレに起きる」「残尿感がある」といった分かりやすい排尿症状が現れます。これに対し、前立腺がんの約70%から80%は外腺(辺縁領域)から発生します。尿道から離れた外側のスペースでがん細胞が静かに増殖するため、尿道を圧迫することがなく、前立腺がんの初期症状は実質的に「完全な無症状」であることがほとんどです。
外来を訪れる患者のなかには、「おしっこが普通に出ているから自分は大丈夫だと思っていた」と証言する方が後を絶ちません。排尿困難や肉眼的血尿といった自覚症状が現れた段階では、すでに腫瘍が内腺や尿道にまで大きく浸潤しているか、あるいは前立腺肥大症を偶然併発している状態です。
さらに警戒すべきは、骨への親和性が極めて高いという特徴です。進行した前立腺がんの骨転移症状として、腰椎や骨盤、大腿骨などにがんが転移し、持続的な「腰痛」「股関節の重だるさ」「座骨神経痛のような下肢のしびれ」として表面化することがあります。「整形外科で腰痛症や変形性腰椎症の治療を数カ月受けていたが、痛みが引かないため血液検査をしたところ、前立腺がんの多発骨転移だった」というケースは、臨床現場において決して珍しくありません。原因不明の頑固な腰痛や骨痛が続く中高年男性は、泌尿器科領域の精査を視野に入れる必要があります。