ほうれん草のアク抜きを怠ると危険?シュウ酸の真実と正しい時短下処理法
ほうれん草のアク抜きを怠ると危険?シュウ酸の真実と正しい時短下処理法とはどのようなものなのか? 専門的な分析を簡潔に解説します。
忙しい平日の夕食作りにおいて、「後から強火で炒めるのだから、下茹でを省いて生のままフライパンに投入しても熱でアクは飛ぶのではないか」という疑問を持つ調理者は後を絶ちません。しかし、これこそが最も陥りやすい調理科学上の罠です。
そのまま炒めると危険な真相は、シュウ酸の物理的・化学的性質に由来します。シュウ酸の熱分解温度は約189℃以上であり、一般的な家庭用コンロでの野菜炒め(炒め温度140℃〜170℃程度)では熱分解しません。加えて、シュウ酸は揮発性の気体ではなく水溶性の結晶性粉末であるため、油で炒めて水分を飛ばしても大気中へ蒸発することはありません。
生のままベーコンやバターと一緒に炒めると、葉から染み出たシュウ酸が調理油の中に溶け出し、料理全体に均一にコーティングされてしまいます。苦味やキシキシ感をマスキング(油膜で覆い隠す)することはできても、実際に体内へ入るシュウ酸の総量は1ミリグラムも減っていません。長期的に見れば、自ら結石の元を濃縮して摂取している状態にほかなりません。