放牧が日本の食と酪農を変える!舎飼いとの決定的な違いと可能性
放牧が日本の食と酪農を変える!舎飼いとの決定的な違いと可能性の全体像を詳しく解説してご紹介します。
舎飼いと放牧の決定的な違いは、家畜のエネルギー代謝とストレス負荷の構造にある。一般的な舎飼い(繋ぎ飼い牛舎やフリーストール牛舎)では、高カロリーなトウモロコシや大豆粕を中心とした濃厚飼料を多給し、短期間で高い産乳量や筋肉内脂肪(サシ)の蓄積を狙う。これに対し、放牧地で過ごす牛は1日に数キロメートルを歩行し、繊維質の豊富な生草を自ら選び取って咀嚼する。
歩行運動は蹄の偏摩耗を防ぎ、四肢の骨格と筋肉を強靭にする。舎飼いで多発する蹄病や乳房炎、難産のリスクは、放牧下では大幅に減少する。牛の第1胃(ルーメン)はもともと繊維質を発酵分解するために最適化された器官だ。濃厚飼料の過剰摂取で起きるルーメンアシドーシス(第一胃過酸症)の発症率は、草地を主食とする放牧牛においては極めて低い。生産効率を数字の多寡だけで測る時代は終わり、生体寿命と生涯生産性を重視する現場へと軸足が移っている。