松たか子『アナ雪』奇跡の歌声と現在地|アカデミー賞から続編まで解剖
松たか子『アナ雪』奇跡の歌声と現在地|アカデミー賞から続編まで解剖の全体像を分かりやすくまとめてご紹介します。
映画『アナと雪の女王』が日本で公開された際、全国の観客を驚嘆させたのが松たか子の圧倒的な歌唱力でした。代表曲「レット・イット・ゴー〜ありのままで〜」において、彼女は単に楽譜通りの高音を美しく響かせるだけでなく、心を閉ざしていた雪の女王が自らを解放していく劇的な感情の揺らぎを、声のグラデーションだけで鮮やかに描き出しました。
舞台女優として名匠たちの演出を受け、ミュージカル『ジェーン・エア』や『ラ・マンチャの男』などで培った声楽的な基礎体力は折り紙付きです。松たか子の発声は、胸声(チェストボイス)の力強い芯を保ちながら、高音域の頭声(ヘッドボイス)へと滑らかに移行する高度な技術に支えられています。サビに向けて爆発するロングトーンの抜けの良さと、日本語の子音を崩さずメロディに乗せるディクションの美しさは、吹き替え声優としての域を完全に超え、1人の卓越した表現者としての凄みを放っていました。
続編『アナと雪の女王2』のメイン楽曲「イントゥ・ジ・アンノウン〜心のままに〜」では、さらに難度の高いハイトーンと内省的な葛藤が要求されましたが、松たか子は見事にエルサの円熟と未知への不安を表現し切りました。ディズニーの音楽ディレクター陣が「各国の吹き替え版の中でも群を抜いて感情表現が繊細である」と太鼓判を押した背景には、セリフの延長線上に歌を配置する松たか子ならではの演劇的アプローチがあります。