なぜ表記が違う?植物油と植物油脂の違いと食品表示に潜むリスクの真相
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日常会話では混同されがちな言葉だが、農林水産省が定めるJAS規格における食用植物油脂の定義や物理化学の観点において、両者には明確な境界線が存在する。植物油と植物油脂の決定的な違いを端的に言えば、「常温で液体か、固体を含むか」という物理的状態の違いである。
まず「油」という漢字は、常温(約20℃)で液体の脂質を指す。大豆油、菜種(キャノーラ)油、コーン油、ごま油などがこれに該当する。一方、「脂」という漢字は、牛脂(ヘット)や豚脂(ラード)のように常温で固体の脂質を意味する。そして「油脂」とは、「油(液体)」と「脂(固体)」の双方を包括した上位概念の学術・産業用語である。つまり、「植物油」は植物油脂という広大なグループの中に含まれる、液体部分の一形態に過ぎない。
ここで多くの人が疑問を抱くのが、サラダ油と植物油の違いだろう。サラダ油とは、JAS規格で厳格に定められた基準を満たした植物油の特定種別を指す。低温(0℃)で5.5時間冷却しても白く濁ったり固まったりしないよう、高度に「脱ろう(精製)」された油のみが「サラダ油」を名乗ることができる。これに対し、加工食品によく使われる「植物油脂」は、常温で固まる性質を持つアブラヤシ由来の「パーム油」や、液体の油に水素添加を行って半固体化させた「硬化油」を豊富に含んでいる。この融点の高さと保形性こそが、食品表示で「植物油」ではなく「植物油脂」と区別される本質的な理由である。