幸せって何だろう?心理学と脳科学が解き明かす幸福の決定打
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懸命に働き、生活水準を上げ、欲しいものを手に入れたはずなのに、なぜか心が晴れない――この空虚感の背景には、人間の脳に太古からプログラムされた心理メカニズムが存在します。心理学で「快楽順応(ヘドニック・トレッドミル現象)」と呼ばれるこの性質は、どれほど大きな歓喜や昇給、昇進を経験しても、時間の経過とともにその刺激に慣れ、基準値(セットポイント)へと戻ってしまう心理作用を指します。
ビジネスコーチング大手の株式会社コーチ・エィが発行する『Hello, Coaching!』の論考(2024年8月21日公開)では、幸福の本質について極めて示唆に富む指摘がなされています。論考内では「幸せは、誰かに与えられるものではなく、自らの意思と行動によって作り出すものである。不安や欲望に支配されたら、どこかで私たちは自分を不幸だと思ってしまう」と警鐘を鳴らしています。他者からの評価や外部の環境変化という「外付けの報酬」に幸福の決定権を委ねている限り、どれだけ欲望を満たしても際限のない渇望の罠から抜け出せません。
さらに、現代人を苦しめているのが「幸福のハードルを自ら無意識に引き上げ続けている」という構造的な罠です。かつては地域コミュニティや狭い交友関係が比較の対象でしたが、スマートフォンを通じて世界中の「最も成功した瞬間」「最も見栄えの良い切り取り」と常時接続されるようになりました。その結果、日常のささやかな平穏を「取るに足らないもの」と過小評価し、自ら不幸の錯覚を作り出しているのです。