動脈血と静脈血の違いを解剖!肺動脈に流れる血の罠と色の秘密

動脈血と静脈血の違いを解剖!肺動脈に流れる血の罠と色の秘密にまつわる最新トピックを詳しく紐解きます。

動脈血の目を見張るような「鮮紅色(鮮やかなスカーレット)」と、静脈血の深みのある「暗赤色(黒みがかったワインレッド)」。この色調のコントラストを生み出している主役は、血液1マイクロリットル中に約450万〜500万個存在する赤血球と、その内部をぎっしり埋め尽くすタンパク質「ヘモグロビン」です。

ヘモグロビンは、鉄原子を中心部に抱えるヘムという色素と、グロビンというタンパク質が結合した複合体です。肺胞毛細血管の高濃度酸素環境下に置かれると、鉄イオンが酸素分子を強力に捕捉し、ヘモグロビン結合が生じて「オキシヘモグロビン(酸素化ヘモグロビン)」へと変化します。この結合に伴い、タンパク質の立体配座が物理的にシフト(アロステリック変形)し、可視光線のうち波長の長い赤色光を反射・散乱しやすくなるため、人間の目にはまばゆい鮮紅色として映し出されます。

一方、毛細血管を介して末梢組織のミトコンドリアへ酸素を受け渡すと、酸素を失ったヘモグロビンは「デオキシヘモグロビン(脱酸素化ヘモグロビン)」へと戻ります。すると立体構造が再び歪み、赤色光の反射効率が低下してより広い波長の光を吸収するため、くすんだ暗赤色へと表情を変えます。

ここで多くの人が抱く素朴な疑問が「皮膚の上から透けて見える血管はなぜ青いのか?」という点です。「静脈血は青いのではないか」という都市伝説は海外でも根強く囁かれていますが、青い血液など人体には一滴も流れていません。皮膚表面に入射した可視光線のうち、波長の短い青色光は皮膚浅層で散乱されて跳ね返り、波長の長い赤色光は皮下組織の深くまで侵入して静脈血のデオキシヘモグロビンに吸収されます。その結果、網膜には皮膚組織の光学的散乱によって青色成分だけが強調されて届くという、純粋な光学現象(錯視の一種)に過ぎません。

田中 結衣

田中 結衣

デジタルマーケティングコンサルタント

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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