みかん生産量日本一は愛媛じゃない?和歌山連覇の真相と最新データ
みかん生産量日本一は愛媛じゃない?和歌山連覇の真相と最新データについて知っておくべき 理由を分かりやすく解説いたします。
和歌山県が首位を奪い、愛媛県が2位に甘んじている背景には、単なる豊作・凶作の運不運ではなく、両県が選択した農業経営戦略の根本的な違いが存在します。一言で表現すれば、「温州みかんの生産力向上に全力を注いだ和歌山」と、「温州みかんを絞り込み、高級新品種へ舵を切った愛媛」という選択です。
有田みかん出荷量を誇る和歌山県有田地域は、南向きの急峻な山肌に石垣を組んだ階段状の園地が広がります。日当たりと水はけが極めて良く、土壌の水分量を厳格にコントロールできるため、高糖度な温州みかんを毎年大量に生産できる比類なき立地条件を備えています。和歌山県はこの強みを徹底的に強化し、タイベックシート(白い透湿防水シート)を地面に敷き詰めるマルチ栽培を組織的に推進。市場が求める安定した食味の温州みかんを大量供給する体制を盤石にしました。
対する愛媛県は、1990年代以降のオレンジ輸入自由化や温州みかんの単価下落に直面した際、抜本的な品種転換を決断しました。愛媛県農林水産研究所が威信をかけて開発したのが、「紅まどんな(品種名:愛媛果試第28号)」や「甘平(かんぺい)」といった独自の高付加価値品種です。ゼリーのような食感を持つこれらの柑橘は、1玉数百円から千円を超える超高級フルーツとして贈答用市場を席巻しました。
愛媛県は農家の収益性を高めるため、温州みかんの樹を伐採し、これらの中晩柑への改植を一気に進めました。その結果、温州みかん単体の収穫量は計画的に減少したものの、伊予柑、ポンカン、デコポン(不知火)、せとか等を含めた柑橘類生産量日本一の座は現在も愛媛県が堅持しています。「みかん単体で勝負する和歌山」と「柑橘の総合力で高収益を狙う愛媛」という、極めて合理的な棲み分けが現在の状況を生み出したのです。