からくれないに水くくるとは本当の意味!在原業平が隠した禁断の恋
からくれないに水くくるとは本当の意味!在原業平が隠した禁断の恋の注目ポイントを詳しく解説してご紹介します。
現代の読者が最もつまずきやすいのが、「水くくるとは」の解釈です。一見すると「水に潜る(くぐる)」と読めなくもありません。事実、一部の古注釈や後世の落語の演目『千早振る』では、「千早太夫が竜田川に身を投げて水の下をくぐった」という滑稽な地口(言葉遊び)のネタにされています。
しかし、古典文学としての水くくるとはの意味と語源における学術的定説は、布を部分的に糸で縛って染料に浸し、染まる部分と染まらない白地をまだらに作り出す「絞り染め(括り染め)」です。
漢字で当てはめるなら「水括るとは」となります。竜田川の水面に無数の真っ赤なモミジの葉が敷き詰められ、ところどころに水の青い筋が覗いている情景。業平はその鮮やかなコントラストを、川という巨大な機(はた)が織り上げた「絞り染め・括り染めの布」に見立てたのです。「唐紅(からくれない)」とは、当時シルクロードを経て伝来した紅花染めの最上級の色であり、燃え盛る炎のような深紅を意味します。
川の水が紅葉を押し流しているのではなく、「竜田川という神的な存在が、自らの水を唐紅の絞り染めに染め上げている」という大胆不敵な擬人化。これこそが、千年の時を経ても色褪せないこの歌の圧倒的な美的引力なのです。