建築家と建築士の違いとは?無資格でも名乗れる真相と後悔しない選び方
建築家と建築士の違いとは?無資格でも名乗れる真相と後悔しない選び方の背景について、専門知識を取りまとめてご紹介します。
「建築士免許の有無」と「建築家としての作家性」が別次元で論じられる最大の理由は、建築が工学的な安全基準を満たすだけでなく、人間の生き方や都市の景観を変革する空間芸術としての側面を併せ持っているからです。
安藤忠雄氏の異例の足跡とプリツカー賞
その象徴的な存在が、世界最高峰の建築賞「プリツカー賞」を受賞した世界的建築家・安藤忠雄氏です。安藤氏は大学の建築学科を出ておらず、元プロボクサーという異色の経歴を持っています。自著や特別番組のインタビューでも明かされている通り、古書店で手に入れたル・コルビュジエのデッサン集をむさぼるように模写し、世界中を独学で旅しながら空間体験を身体に叩き込みました。
その後、猛勉強の末に一級建築士資格を取得し、大阪・住吉の長屋で日本建築学会賞を受賞。「光の教会」や「表参道ヒルズ」など、コンクリート打ち放しと幾何学的な空間構成で世界的な評価を確立しました。この歩みは、「建築士という資格はあくまで通過点であり、自らの空間思想を世に問う者こそが建築家である」という職能の本質を物語っています。
隈研吾氏にみる「社会と対話する建築家」
一方、東京大学大学院で正規のアカデミズム教育を受け、国立競技場の設計などを手掛けた隈研吾氏は、地域の自然素材(木材や石材)と伝統工芸を現代工法と融合させる手法で現代建築を牽引しています。
彼らのような本物の建築家たちに共通しているのは、「建築基準法という枠組みをクリアした上で、クライアントの人生や敷地の歴史的背景をどう表現するか」という独自の哲学を持っている点です。単に法規的な図面を代行するだけの技術者と、空間に魂を吹き込むクリエイターの違いが、世間一般の抱く「建築士」と「建築家」のイメージの乖離を生み出しています。