なぜ桐の花は皇室の紋章に?高貴な紫に隠された意味と意外な花言葉の真相
なぜ桐の花は皇室の紋章に?高貴な紫に隠された意味と意外な花言葉の真相の真相や最新動向に迫る! 専門的な視点で紐解きます。
日本人の日常生活において、桐の図案は極めて身近な存在です。現行の500円硬貨の表面をはじめ、内閣総理大臣の記者会見で演台に掲げ出されるプレート、さらにはパスポートの査証欄など、国家の公的な場には必ずといってよいほど「桐紋」が刻まれています。
なぜ桜や菊と並び、桐がこれほどまでに神聖視されてきたのか。その桐の花の意味と由来を紐解くには、古代中国の瑞祥思想まで遡る必要があります。古代中国の伝説において、徳の高い名君が善政を敷いたときにのみ現れるとされる伝説の霊鳥「鳳凰(ほうおう)」は、「桐の木にのみ宿り、竹の実のみを食す」と伝えられてきました。この神話が日本に伝来した際、聖なる樹木としての「桐」のイメージが定着したのです。
宮内庁の記録や有職故実の知見によると、平安時代初期の嵯峨天皇(在位809〜823年)が天皇の正式な儀服である「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」の文様に桐と竹、鳳凰を採用したことが、桐の花が皇室の縁起物として位置づけられた決定打となりました。当初は皇室専用の紋様でしたが、中世以降、足利尊氏や豊臣秀吉といった時の最高権力者へ勲功の証として下賜され、武家の最高位を示すシンボルへと昇華していきました。
現在でも、花弁の数が上部に「3-5-3」と並ぶ「五三の桐」に対し、中央に7つ、左右に5つの花を配した「五七の桐(ごしちのきり)」は、日本国政府および内閣総理大臣の正式な紋章として厳格に管理・使用されています。高貴な紫の花を咲かせる桐は、単なる植物の枠を超え、千数百年にわたり日本の国家秩序と美意識を象徴し続けているのです。