マリーナベイサンズの傾きは欠陥か?52度の構造と倒壊リスクの真相
マリーナベイサンズの傾きは欠陥か?52度の構造と倒壊リスクの真相の基礎知識と応用に迫る! わかりやすい言葉でご紹介しています。
マリーナベイ・サンズを設計したのは、イスラエル出身の世界的な建築家モシェ・サフディ(Moshe Safdie)氏です。彼が描いた独創的なデザインの根底には、明確な構造コンセプトと文化的なメッセージが込められていました。
サフディ氏は、3棟のタワー(タワー1、タワー2、タワー3)をデザインする際、単なる垂直の箱型ビルではなく、2本の独立したタワーが地上から立ち上がり、地上23階部分(高さ約70メートル)で1本のタワーへと合体するアーチ構造を構想しました。これはトランプのカードを互いに立てかけて支え合う形状や、東洋の伝統的な挨拶である「合掌(手を合わせる姿)」をモチーフにしています。
このデザインを実現するために設定されたのが、最大傾斜角度52度という驚異的な数値です。西側のタワーは垂直(または緩やかな傾斜)に立ち上がる一方、東側のタワーは1階上がるごとに約25センチメートル外側へスライドしながら傾斜していきます。23階で東西のタワーが合流して以降は、一体となったタワーが地上55階(高さ約200メートル)まで垂直に伸びていく構造です。
傾斜角度52度というのは、世界的に有名な「ピサの斜塔」(約4度)と比較しても桁違いの急勾配であり、仮に構造計算を誤れば自重だけで外側にへし折れてしまいます。サフディ氏の美学的挑戦と、それを具現化した構造エンジニアたちの綿密な計算が融合した結果生まれたのが、この奇跡的な傾きなのです。