なぜ過去を蒸し返す?過ぎたことをいつまでも言う人の心理と対処法
なぜ過去を蒸し返す?過ぎたことをいつまでも言う人の心理と対処法の基礎知識と応用に迫る! わかりやすい言葉でまとめました。
過度な蒸し返しをすべて「意地の悪さ」や「モラハラ」と断定してしまうと、対応を誤る危険があります。当事者の悪意ではなく、脳の機能的な特性や精神医学的な要因によって過去の記憶に縛り付けられているケースが存在するためです。
代表的な事例として知られるのが、発達障害、とりわけ自閉スペクトラム症(ASD)に見られる記憶のタイムスリップ現象(フラッシュバック)です。ASDの特性を持つ人の一部は、過去のネガティブな情動記憶が時系列に沿って整理されにくく、何らかのトリガー(特定の言葉、匂い、表情など)によって、5年前、10年前の屈辱的な体験が「今まさに目の前で起こっている」かのような臨場感で突発的に蘇ります。本人にとっては過去の話を蒸し返している自覚はなく、「今リアルに受けている攻撃」に対してパニック的に自己防衛の叫びを上げている状態といえます。
また、注意欠如・多動症(ADHD)に伴う感情調整の困難さ(情動調節不全)も、過去の怒りを瞬間的に爆発させる引き金になります。さらに精神疾患の領域では、以下のようなケースも視野に入れる必要があります。
・自己愛性パーソナリティ障害(NPD):自己の完全性が脅かされた過去の侮辱(自己愛憤怒)を異常な執念で記憶し、相手を徹底的に貶めるまで攻撃の手を緩めない。
・境界性パーソナリティ障害(BPD):見捨てられ不安から極端な白黒思考に陥り、過去の相手の些細な行動を「裏切り」と断定して激しく糾弾する。
・老年期の初期認知症や脳血管障害:前頭葉の機能低下による感情抑制のブレーキ機能喪失(情動失禁)によって、昔の不満が堰を切ったように溢れ出る。
医療従事者や臨床心理士の診断を仰ぐべき領域と、人格的な悪意による支配を冷静に見分ける視点が求められます。