山本五十六「やってみせ」全文の真実|続きに隠された育成論の本質

山本五十六「やってみせ」全文の真実|続きに隠された育成論の本質の要点を丁寧に掘り下げてご紹介します。

この名言を語る上で欠かせないのが、山本五十六の「やってみせ」の元ネタとなった歴史的ルーツです。歴史研究家や海軍兵学校の教官記録によると、この言葉の原型は、江戸時代中期に破綻寸前の米沢藩を再生させた名君・上杉鷹山(うえすぎようざん)の教えにあります。

上杉鷹山は、藩政改革を進めるにあたり、次のような訓戒を残しました。
「してみせて 言ってきかせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」
山本五十六は新潟県長岡市の出身であり、郷土の偉人や武士道精神を深く学んでいました。米沢藩主である鷹山の実践躬行(じっせんきゅうこう)の精神を敬愛し、海軍航空隊の教官や艦隊司令官を務める中で、自らの実体験と言葉を交えて洗練させたのが現在の格言です。

上杉鷹山と山本五十六の違いを整理すると、指導対象と組織の性質に明確な差異が見られます。鷹山が目指したのは、飢饉と莫大な借金に喘ぐ封建社会において、領民や武士に「自給自足の精神」を植え付けるための身内範型(ロールモデル)の提示でした。領主でありながら自ら一汁一菜を貫き、木綿の服を着て畑を耕すことで、民の心を動かしたのです。

対して、連合艦隊司令長官・山本五十六が直面したのは、秒単位の判断が生死を分ける近代軍事組織、とりわけ航空機という新兵器を扱う技術集団の育成でした。単なる精神論では通用せず、操縦技術や整備手順を正確にトレースさせた上で、突発的な空中戦で自ら判断を下せる「高度な自律性」を兵士に植え付ける必要がありました。だからこそ、鷹山の言葉をベースにしつつも、「任せてやらねば、人は育たず」「信頼せねば、人は実を結ばず」という自立と信頼のフェーズを書き加える必然性があったのです。

中島 亮太

中島 亮太

写真家・フォトエディター

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。

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