郷ひろみと樹木希林『お化けのロック』怪作が昭和を揺るがした真相

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1977年(昭和52年)9月1日に発売された『お化けのロック』。この楽曲が社会現象にまで発展した最大の要因は、TBS系水曜劇場『ムー』において敢行された、前代未聞の劇中インサート演出にありました。

ドラマ『ムー』は、東京・下町の足袋屋「うさぎ屋」を舞台にしたホームドラマでした。しかし、手がけたプロデューサー兼演出家の久世光彦は、従来の湿っぽい家族劇を根本から覆すアプローチを試みます。劇中のストーリーがシリアスな局面に差し掛かろうと、日常のワンシーンであろうと、唐突にサイケデリックな照明が点滅し、郷ひろみ演じる足袋屋の次男・拓郎と、樹木希林演じる家政婦・金田カヨが画面中央に躍り出て歌い踊り出すという、破格の構成を組み込んだのです。

当時のテレビ界において、ドラマの途中で登場人物が役柄のまま、しかしドラマの文脈を完全に無視して新曲を歌い踊るなどということはタブー中のタブーでした。視聴者は最初、「何が起きたのか」「放送事故ではないのか」と息を呑みましたが、毎週繰り返されるうちに、その圧倒的なナンセンスさと疾走感の中毒になっていきました。ドラマという虚構を自ら破壊し、視聴者を強制的に共犯者へと仕立て上げる久世演出の魔術が、楽曲の爆発的なヒットを牽引したのです。

なぜこの2人によるデュエットだったのか。その背景には、王子様的アイドル像の檻から抜け出し、本格的な大人のエンターテイナーへと脱皮を図りたかった郷ひろみ側の意欲と、予定調和を何よりも嫌い、アイドルを容赦なく生身の人間として揺さぶり倒す樹木希林という、稀代の表現者同士の化学反応を狙った制作陣の鋭い計算がありました。

森 瞳

森 瞳

ヘルス&ウェルネスアドバイザー

暮らしを豊かにする便利アイテムや時短アイデアを中心に、実用的な情報をお届けします。

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