なぜ人は印を結ぶのか?手指の所作に秘められた科学と歴史の真相
なぜ人は印を結ぶのか?手指の所作に秘められた科学と歴史の真相の真相や最新動向に迫る! わかりやすい言葉で紐解きます。
一般に最も知られ、映画やマンガなどのカルチャーでも頻繁に登場するのが「九字護身法(くじごしんぽう)」です。そのルーツは中国東晋時代の道教思想家・葛洪が著した『抱朴子(ほうぼくし)』登渉篇にある「臨兵闘者皆陣列前行(りん・ぴょう・とう・しゃ・かい・じん・れつ・ぜん・ぎょう)」という魔除けの言葉にあります。これが日本へ伝来した際、修験道や密教の影響を受けて「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前(りん・ぴょう・とう・しゃ・かい・じん・れつ・ざい・ぜん)」へと変化し、九つの文字それぞれに対応する「手印」と「九字切り」の作法が確立されました。
九字護身法のやり方には、大きく分けて手指を複雑に組み替えていく「早印・九印(大結印)」と、人差し指と中指を立てた刀印(とういん)で空間に格子を描く「九字切り(縦横法)」が存在します。
九字護身法・九つの手印(早九字・結印の順序)
各印は、唱える言霊と連動して特定の精神状態を脳内に呼び起こすトリガーとなります。
- 1. 臨(りん)/独股印(どっこいん):両手の指を内側に組み、左右の人差し指だけを真っ直ぐ立てて先端を合わせる。意味は「心身の不動・勇気」。不動明王の力を宿し、恐怖を克服する。
- 2. 兵(ぴょう)/大金剛輪印(だいきんごうりんいん):両手の人差し指と親指を立てて絡ませ、中指・薬指・小指を交差させる。意味は「エネルギーの循環・生命力の強化」。
- 3. 闘(とう)/外獅子印(げししいん):親指、人差し指、小指を立て、中指と薬指を外側に絡める。意味は「宇宙の調和・闘争心の制御」。獅子が咆哮するように魔を圧倒する。
- 4. 者(しゃ)/内獅子印(ないししいん):外獅子印と逆で、中指と薬指を手のひらの内側で交差させる。意味は「自己治癒・身体の覚醒・自由自在」。
- 5. 皆(かい)/外縛印(げばくいん):両手の指をすべて外側で交互に深く組み合わせる。意味は「危機察知・第六感の研ぎ澄まし・テレパシー」。
- 6. 陣(じん)/内縛印(ないばくいん):両手の指をすべて内側(手のひらの中)へ入れ込んで固く握り合う。意味は「他者の心を読む・隠密・防御」。
- 7. 烈(れつ)/智拳印(ちけんいん):左手の人差し指を立て、その指を右手で握り込み、右手の親指の先を左手の人差し指の先端に当てる。意味は「時空の制御・超越的な知恵」。
- 8. 在(ざい)/日輪印(にちりんいん):両手の親指と人差し指で円(輪)を作り、残りの指を軽く開く。意味は「自然との一体化・太陽の生命力の借用」。
- 9. 前(ぜん)/宝瓶印(ほうびょういん/別称:隠形印):右手で軽く握りこぶしを作り、左手でそれを上から包み込むように覆う。意味は「姿を消す(不可知化)・完全な悟り」。
刀印による「四縦五横(縦横法)」の切り方
右手の人差し指と中指を真っ直ぐ伸ばし、親指で薬指と小指を押さえて「刀(剣)」の形を作ります。これが「刀印(とういん)」です。左手は腰に当てて鞘(さや)の形を作るか、指を曲げて腹前に置きます。
息を深く吸い込み、気迫を丹田に溜めながら、空間に向かって「横・縦・横・縦…」と交互に格子を描いていきます。横に5本、縦に4本、計9本の線を空間に刻み込みます。線の終わりには「エイッ」と鋭い呼気とともに気合を放ち、空間を断ち切るように印を収めます。これにより、自身の周囲に邪悪な干渉を受け付けない「境界(結界)」が完成すると伝えられてきました。