花札の「あのよろし」は間違い?赤短の文字に隠された本当の意味と歴史
花札の「あのよろし」は間違い?赤短の文字に隠された本当の意味と歴史とは一体何なのか? 専門的な分析を整理してお届けします。
花札の1月(松)と2月(梅)の赤短に書かれた文字を素直に読もうとすると、多くの日本人は「あ・の・よ・ろ・し」と読んでしまいます。しかし、文字の歴史を専門とする研究者や花札の製造元において、この読み方は明確に否定されています。正しい表記は「あかよろし」です。
では、なぜ2文字目が「の」に見えてしまうのでしょうか。その理由は、現在の平仮名とは異なる字形である「変体仮名(へんたいがな)」が使われている点にあります。
変体仮名とは、明治時代以前の日本で日常的に使われていた多様な仮名文字のことです。現代の平仮名は1つの音に対して1つの漢字(字母)をベースに作られていますが(例えば「か」は「加」を崩したもの)、かつては「可」「奈」「我」など複数の漢字から作られた仮名が混在していました。赤短の2文字目は、漢字の「可」を草書体で崩した変体仮名の「か」が記されているため、筆の払いやカーブが現代の「の」に酷似して見えるのです。