シング・シング・シングなぜ愛される?名演の真実と演奏の極意

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『シング・シング・シング』を語る上で、避けて通れない歴史的事実があります。世間一般では「ベニー・グッドマンの代表曲」として広く認知されていますが、本来の作曲者はニューオーリンズ出身のシンガー兼トランペッターであるルイ・プリマです。1936年に彼が率いるニューオーリンズ・ギャングによって吹き込まれた原曲『Sing, Sing, Sing (With a Swing)』は、軽快な歌声をメインに据えたヴォーカル・ジャズナンバーでした。

当時のシング・シング・シングの歌詞日本語訳を紐解くと、「歌って、歌って、スウィングしよう。音楽が鳴り響けば悩みなんて消し飛んでいく」という、大恐慌後のアメリカ社会を鼓舞する極めてシンプルでストレートなメッセージが込められていました。この陽気なジャズナンバーに目をつけ、大胆なインストゥルメンタル曲へと再構築したのが、“スウィングの王様”と称されたクラリネット奏者ベニー・グッドマン率いるビッグバンドでした。

グッドマンは編曲家フェレッティ・マンディと組み、ルイ・プリマの原曲にチュー・ベリー作曲の『クリストファー・コロンブス』のフレーズをマッシュアップ。劇的なインストゥルメンタル大作へと昇華させます。そして1938年1月16日、クラシック音楽の殿堂であったニューヨークのカーネギー・ホールでジャズバンドとして初となる単独公演を敢行しました。人種差別の壁が厳然と存在していた時代において、白人と黒人の混成バンドを率いてステージに立ち、12分を超える熱狂的な演奏を繰り広げたこの歴史的ステージこそが、本作を不滅のジャズスタンダード名曲へと押し上げた決定的な転換点です。

中島 亮太

中島 亮太

写真家・フォトエディター

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。

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