脱酸素剤をレンジにかけると発火?乾燥剤との違いと誤飲時の対処法
脱酸素剤をレンジにかけると発火?乾燥剤との違いと誤飲時の対処法の真相について、専門知識を詳しくお届けします。
脱酸素剤の最大の功績は、密閉された空間内の酸素濃度をほぼゼロ、具体的には0.1%以下の無酸素状態(脱酸素状態)まで低下させられる点にあります。地球の大気は約21%の酸素を含んでいますが、この酸素こそが食品中の油脂を酸化させて風味を損なわせ、好気性カビや害虫を繁殖させる元凶です。不活性ガス(窒素など)を充填する包装技術もありますが、包材を透過して外からわずかに侵入してくる酸素までは除去できません。脱酸素剤は、その侵入分すら貪欲に吸収し続けます。
その基本原理は、極めてシンプルな化学反応、すなわち「鉄が錆びる(酸化する)現象」の応用です。鉄(Fe)が空気中の酸素(O₂)と水(H₂O)と反応して水酸化鉄や酸化鉄へと変化する際、周囲の酸素分子を物理的に奪い取って固定化します。この自然界の酸化現象を、特殊技術によって数時間から1日という猛スピードで完了させるのが脱酸素剤のテクノロジーです。
小袋の中身を分析すると、高純度に精製された還元鉄粉をベースに、反応を活性化させる微量の水分、電解質(食塩など)、保水剤(活性炭やゼオライト)が絶妙な比率で配合されています。開封したばかりの脱酸素剤を手のひらに載せておくと、ほんのり温かくなってくるのを感じたことがある人も多いはずです。これは鉄が酸素と結合する際に生じる「酸化反応熱」によるもので、使い捨てカイロと基本構造は全く同一のメカニズムです。カイロは長時間じわじわ発熱するように空気量を制御していますが、脱酸素剤は限られた密閉空間の酸素を一刻も早くゼロにするため、急速な反応設計が施されています。