箱ひげ図の外れ値はなぜ1.5倍?計算式と除外すべきかの判断基準

箱ひげ図の外れ値はなぜ1.5倍?計算式と除外すべきかの判断基準について押さえておきたい 事実を分かりやすい構成で解説いたします。

箱ひげ図において、外れ値をあぶり出す境界線として世界中で採用されているのが「四分位範囲(IQR)の1.5倍」という指標です。この計算式は単なる便宜的な思いつきではなく、明確な統計学的根拠に基づいて考案されました。

まず基礎となる箱ひげ図外れ値の計算方法をおさらいします。データを昇順に並べた際、下位25%に位置する値を第一四分位数(Q1)、上位25%(下位75%)に位置する値を第三四分位数(Q3)と呼びます。この2つの差分、すなわちデータの中央50%が集中する区間が四分位範囲(IQR:Interquartile Range)です。

【四分位範囲の計算式】
IQR = Q3 - Q1

【外れ値の判定境界(フェンス)】
・上側境界線 = Q3 + (1.5 × IQR)
・下側境界線 = Q1 - (1.5 × IQR)

この境界線を超えたデータが、いわゆる「外れ値」としてプロットされます。では、核心である外れ値1.5倍の理由はどこにあるのでしょうか。この基準は、1977年に「探索的データ解析(EDA)」を提唱した米国の世界的統計学者ジョン・テューキー(John Tukey)によって導き出されました。

テューキーが着目したのは、データが理想的な正規分布に従う場合の数学的性質です。正規分布において、第一四分位数と第三四分位数は平均値からそれぞれ約「±0.6745σ(標準偏差)」の位置に現れます。したがって、IQRの長さは「約1.349σ」となります。

ここで「1.5 × IQR」を計算すると、1.5 × 1.349σ =「約2.0235σ」となります。これをQ3(+0.6745σ)に加算すると、上側境界線は平均値から「+2.698σ(約2.7σ)」の位置に設定されます。正規分布において「±2.7σ」の外側に現れる確率はわずか約0.7%(およそ143個に1個)に過ぎません。

もし係数を「1.0倍」に設定した場合、境界線は約±2.02σとなり、正常なデータの約4.3%が外れ値として誤検知されてしまいます。逆に「2.0倍」に広げると境界線は約±3.37σとなり、異常値の出現率が約0.07%まで絞られ、検知漏れが多発します。テューキーは、正規データの99%以上を正常値として保護しつつ、真に疑わしい数値をあぶり出す「絶妙なバランスポイント」として1.5倍を提唱したのです。なお、テューキーの定義では「3.0 × IQR」を超える値を「極端な外れ値(Far Out)」と呼び、通常の「軽度の外れ値」と厳密に区別しています。

田中 結衣

田中 結衣

デジタルマーケティングコンサルタント

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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