「受け取りました」は敬語として失礼?上司や取引先に信頼される返信術
「受け取りました」は敬語として失礼?上司や取引先に信頼される返信術に関するポイントを詳しくまとめました。詳細な解説をご確認ください。
ネット上の掲示板やSNSでは、「無難に伝えるために『確かに受け取りました』と書けば安心」という言説を見かけることがあります。しかし、言語社会学や組織コミュニケーションの観点から分析すると、ここには見過ごせない心理的な落とし穴が存在します。
確かに受け取りましたの敬語に含まれる「確かに」という副詞は、本来「間違いなくその状態であると確認・判定する」という意味を持っています。これを部下が上司に、あるいは受注側が発注元に対して使うと、相手の行為をこちらが審査・評価して「間違いがないと認めてやった」という無意識の優位性(上から目線)が滲み出てしまうのです。相手によっては「何様のつもりだ」と不快感を覚える原因になり得ます。もし「間違いなく届いている」という確実性を強調したいのであれば、「間違いなく拝受いたしました」や「確かに手元に届いておりますのでご安心ください」といった、相手への配慮を前面に出した言い回しに昇華させる必要があります。
もう一つの典型的な誤解が、「拝受いたしました」に対する過剰な二重敬語批判です。一部の厳格なマナー論者は「拝受」自体が謙譲語であるため、「いたす」を重ねるのは誤りであると主張します。しかし、文化庁の『敬語の指針』をはじめとする現代の日本語基準では、「拝受いたします/拝受いたしました」は謙譲語Iに丁寧語(ます)を伴う定着した敬語表現として広く公認されています。文法を気にしすぎて「拝受しました」と簡略化するよりも、「拝受いたしました」と丁寧に結ぶほうが、実務の現場でははるかに好印象を与えます。
さらに絶対に避けなければならないのが、相手に対して「ご拝受ください」と要求してしまう間違いです。「拝」はあくまで自分自身の動作をへりくだる言葉であるため、相手の動作に「ご〜ください」と付けるのは致命的な誤用となります。相手に受け取りを促す際は、「お受け取りください」「ご査収ください」を使うのが正しい日本語です。