「マグロは止まると死ぬ」は本当?泳ぎ続ける理由と睡眠の謎に迫る
「マグロは止まると死ぬ」は本当?泳ぎ続ける理由と睡眠の謎に迫るとはどのようなものなのか? 詳しい意味を丁寧に紐解いて紹介します。
マグロがいかに特異な生態を持っているのかを理解するためには、一般的な沿岸魚や、同じく外洋を泳ぐサメ類との生理的スペックを比較検証するのが最も明快です。
ここで注目すべきは、「サメも止まると死ぬのか」という疑問です。実は、すべてのサメが止まると死ぬわけではありません。ネムリブカやドチザメのように水底でじっとしている底生性のサメは、口の後ろにある噴水孔やエラ孔を使って自力で水を取り込むポンプ呼吸が可能です。止まると死ぬのは、マグロと同様に外洋を回遊するホホジロザメやアオザメなど一部の高速遊泳種に限られます。
さらにマグロを際立たせているのが、「奇網(きもう、Rete mirabile)」と呼ばれる驚異的な血管構造です。動脈と静脈が複雑に絡み合う熱交換システムにより、筋肉運動で発生した熱を外へ逃がさず、水温より10度以上高い体温を維持できます。この内温性こそが寒冷な海域でも時速70kmを超える爆発的なスプリントを可能にしている源泉ですが、同時に膨大な酸素消費を伴うため、ラム換水法によるノンストップの酸素補給が不可欠となっているのです。