地球史上最大の巨塔プロトタキシーテス!巨大キノコの正体と絶滅理由

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プロトタキシーテスの分類をめぐる議論は、古生物学界で1世紀半に及ぶ大論争となりました。樹木のような年輪を持ちながらも、内部には植物特有の通水組織(道管や仮道管)が見当たらず、無数の微細な管状組織が複雑に絡み合う特殊な構造をしていたためです。イギリスの植物学者ウィリアム・カーラザーズをはじめとする研究者たちは「巨大な海藻が陸上に打ち上げられたもの、あるいは特殊な陸生藻類である」と主張し、植物説と藻類説が真っ向から対立しました。さらに20世紀後半には「菌類と藻類が共生した巨大な地衣類(コケマットのような構造が立ち上がったもの)」という仮説も提唱されました。

この膠着状態を打ち破ったのが、シカゴ大学の古植物学者C. ケヴィン・ボーイス(C. Kevin Boyce)博士らが2007年に科学雑誌『Geology』に発表した画期的な炭素同位体比(13C/12C)分析です。

光合成を行う植物や藻類(独立栄養生物)は、大気中の二酸化炭素を取り込む際に特有の炭素同位体分別を行うため、同時代の同地域で採取された化石はほぼ一定の同位体比を示します。ところが、各地で発見されたプロトタキシーテスの化石を精密測定したところ、個体ごとに炭素同位体比の値が劇的にバラついていたのです。これは、プロトタキシーテスが自ら光合成を行っていたのではなく、周囲に存在した異なる生物遺骸や微生物マット、初期植物を分解して養分を直接吸収していた「従属栄養生物」である動かぬ証拠でした。

内部の微細構造が真菌類(菌類)の菌糸束と完全に一致すること、そして従属栄養生物であることが確定したことにより、プロトタキシーテスの正体は「巨大な菌類(キノコ・カビの仲間)」であるという結論が学会の定説として確立されました。現生の子嚢菌門や担子菌門の祖先に近いグループ、あるいは現代には子孫を残さず絶滅した独自の菌類系統であったと考えられています。

田中 結衣

田中 結衣

デジタルマーケティングコンサルタント

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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