睡眠物質ヒプノトキシンの正体とは?眠気の仕組みと最新研究を徹底解明
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ヒプノトキシンという概念が医学界に登場したのは、いまから1世紀以上前に遡ります。1913年、フランスの生理学者アンリ・ピエロン(Henri Piéron)とルネ・ルジャンドル(René Legendre)は、長期間断眠させた犬の脳脊髄液を採取し、充分に休息をとった別の犬の脳室内に注入する実験を行いました。すると、注入された犬は即座に深い眠りに落ちたのです。
ピエロンらはこの劇的な現象から、「覚醒状態が続くことで脳や体液中に特定の睡眠誘発物質が分泌・蓄積され、それが一定濃度に達すると強制的に睡眠が引き起こされる」と結論づけ、これを「ヒプノトキシン(睡眠毒素)」と命名しました。
実はこれに先立つ1909年、東京帝国大学の病理学者・石森国臣(いしもり くにおみ)博士も同様の実験を行い、睡眠物質の存在を示唆する論文を発表していました。東西のパイオニアたちによる「眠気の正体は物質である」という直観は、当時の生理学界に大きな衝撃を与え、世界的な睡眠物質探索レースの幕開けとなったのです。