「僕は太宰さんの文学が嫌いです」三島由紀夫が対峙した伝説の一夜
「僕は太宰さんの文学が嫌いです」三島由紀夫が対峙した伝説の一夜を徹底追究! 読者が気になる トピックの裏側を分かりやすく展開します。
太宰の代表作『人間失格』に描かれるのは、社会の適応に敗北し、自身の無力さに喘ぐ人間の姿だ。太宰は自らの恥部や傷口を露出させることで、読者の孤独に寄り添う無頼派の文体を作り上げた。生活の破滅、度重なる自殺未遂、そして水死という最期は、彼の文学と地続きであった。
対して三島の『金閣寺』は、過剰なまでの知性と美への執着、緻密に構築された形式美の金字塔だ。三島は太宰のような「だらしなさ」や「甘え」を激しく嫌悪し、鍛え抜かれた肉体と武士道精神による自己完成を求めた。しかし皮肉なことに、最終的に自決を選ぶという「死による作品の完結」において、両者は奇妙な一致を見せる。
生を自己解体として描いた太宰と、生をドラマチックに構築した末に完成させた三島。ふたつの決定的な生死観は、純文学の二大極致として燦然と輝いている。