ネバーエンディングストーリーの竜ファルコン解剖!犬顔の謎と原作の真実
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映画のファルコンは、ドイツの世界的作家ミヒャエル・エンデが1979年に発表した児童文学の傑作『はてしない物語(原題:Die unendliche Geschichte)』に登場する「フッフール(Fuchur)」がベースになっています。しかし、原作における設定と映画の描写には、埋めがたい決定的な乖離が存在します。
原作小説におけるフッフールは、四肢を持つ西洋風のトカゲ型ドラゴンではなく、大気と光の精霊である「幸運の竜(Glücksdrache)」として描かれています。その姿は東洋の龍(天竜)に酷似しており、鱗は白金(プラチナ)の輝きを放ち、頭部はライオンのような威厳を備え、瞳は燃えるようなルビー色をしています。さらに重要なのは、フッフールは翼を持たず、大気の中を泳ぐように飛翔し、その鳴き声は「青銅の大きな鐘が響き渡るような至高の美声」と描写されている点です。
名前の由来と改変の背景
原作の原名「フッフール(Fuchur)」は、中国語で幸運や福を意味する「福(Fú)」や、風が吹き抜ける擬音、ドラゴンが息を吐く音(ドイツ語のFauch)に由来すると言われています。
しかし、映画が国際配給(特に英語圏市場)を見据えた際、「Fuchur」という発音が英語の侮蔑的なスラングに極めて近く聞こえてしまうリスクが懸念されました。そこで、英語圏で親しみやすく響きの良い「ファルコン(Falkor / Falcor)」へと改変されたという経緯があります。
ミヒャエル・エンデが激怒した「ぬいぐるみの竜」
自身の哲学や神話的象徴を物語に注ぎ込んでいた原作者ミヒャエル・エンデは、映画製作現場で完成したファルコンのプロップ(模型)を目撃した瞬間、激しい憤りを覚えたと伝えられています。エンデは当時のインタビューや手記において、「私の高貴な幸運の竜が、巨大な犬のぬいぐるみに成り下がってしまった」と痛烈に批判しました。
エンデは映画の商業主義的なシナリオ変更やキャラクター造形に強く抗議し、制作中止を求めて裁判を起こす事態へと発展しました。最終的に敗訴したエンデは、自らの名前を映画のオープニングクレジットから外すことを要求し、エンドロールの末尾に小さく原作表記が残されるのみとなったのは、映画史に残る有名な軋轢です。