大相撲の神技職人「床雄」とは?伝説の大銀杏と現在の真相を徹底解説
大相撲の神技職人「床雄」とは?伝説の大銀杏と現在の真相を徹底解説の真相について、分かりやすい解説を取りまとめてご紹介します。
大相撲界を支え続けた名職人「床雄」とは一体どんな人物なのか。その真価が最も発揮されたのが、十両以上の関取だけに結うことが許される「大銀杏(おおいちょう)」の結髪です。力士の髷(まげ)は単なる装飾ではなく、土俵下へ転落した際に頭部を守るクッションの役割も果たします。そのため、激突の衝撃でも容易に解けない堅牢さと、正面・側面どこから見ても均整の取れた美しさが同時に求められます。
床雄が担当した力士の中で、特にファンの記憶に深く刻まれているのが阿武松部屋の看板力士・阿武咲(おうのしょう)や、元幕内の大道(現・阿武松親方)らです。気迫を前面に出して突き押しで前へ出る阿武咲の頭上で、激しい頭のぶつかり合いを経ても決して形を失わない大銀杏は、まさに床雄の職人技の結晶でした。
当時の支度部屋の様子について、関係者は次のように証言しています。
「床雄さんは力士が椅子に座ると、余計な言葉は交わさず、手早く鬢付け油を馴染ませて元結を締めていきました。取組直前の力士は殺気立っていますが、床雄さんに髪を触られている数分間だけは、すっと雑念が消えて集中力が高まる。まさに力士の闘争心を整える儀式のような時間でした」
髪の毛を一本の狂いもなく引き揃え、毛先を扇状に広げる力加減は、長年の勘と指先の感覚だけが頼りです。硬い髪、柔らかい髪、癖毛など、一人ひとり異なる条件を瞬時に見極めて完璧なシルエットを作り上げる手腕は、他の一門の親方衆からも一目置かれていました。