公正役場とは何をする場所か?離婚や遺言で公証役場を使う決定的理由

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人生の修羅場において、民間人があえて数万円の手数料を支払って公証役場を利用する理由は、ひとえに公正証書が持つ「強制執行認諾文言(きょうせいしっこうにんだくもんごん)」にある。この文言が入った金銭債務に関する公正証書は、裁判所の確定判決と同一の効力(執行力)を持つ。

最も典型的な事例が、離婚協議書を公正証書化するケースだ。厚生労働省が公表している「全国ひとり親世帯等調査」等の最新動向を見ても、養育費の取り決めをしている世帯は全体の半数前後にとどまり、さらに継続して受給できている世帯は約28%に過ぎないという過酷な現実がある。私的な誓約書や口約束だけでは、支払いが途絶えた際に家庭裁判所へ調停を申し立て、判決が出るまで数カ月から1年以上の歳月を浪費することになる。

しかし、公正証書に「約束を破った場合は直ちに強制執行に服する」旨の認諾条項を記載しておけば、裁判を一切スキップして相手の給与や銀行口座を差し押さえる養育費の強制執行が可能となる。特に民事執行法の法改正以降、第三者からの情報取得手続によって相手の勤務先や預貯金口座の特定が容易になったことも、公正証書の抑止力を大幅に高めている。

また、公正証書遺言の手続きの流れを踏む動機も極めて合理的だ。自筆の遺言書は、形式の不備による無効リスクや、死後に家庭裁判所での「検認手続き」が必要となる煩雑さ、さらには「認知症で判断能力がなかったのではないか」という相続人同士の泥沼の疑心暗鬼を生みやすい。公証人が直接遺言者の意識と判断能力を確認して作成する公正証書遺言であれば、検認は一切不要であり、偽造や変造の恐れも完全に遮断される。原本は公証役場で原則20年間(実務上は半永久的)厳重に保管されるため、紛失の懸念もない。

石川 優花

石川 優花

インテリア&ライフスタイルコーディネーター

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。

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