認知症の周辺症状Bpsdとは?暴言や徘徊の原因と最新対策をプロが解説

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「なぜ、あんなに優しかった親が別人のように豹変してしまうのか」という問いに対し、老年精神医学の現場からは極めて明確な答えが提示されています。周辺症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:BPSD)とは、脳の神経細胞が壊れることで直接生じる記憶障害や見当識障害などの「中核症状」を土台とし、そこに「本人のもともとの性格」「周囲の人間関係」「住環境のミスマッチ」「身体的苦痛」が重なり合って噴出する心理・行動上の混乱です。

認知症を発症すると、今日の日付が分からない、自分が今どこにいるのか認識できない、直前の出来事を思い出せないといった極度の恐怖と混乱に日常的に晒されます。健常者に置き換えるならば、「見知らぬ異国の街角に突然パスポートも財布も持たずに放り出された状態」に匹敵します。そのような極度の防衛本能が働いた結果、周囲からの何気ない一言を「攻撃された」と誤認して激しい暴言に至ったり、安心できる場所を求めて外へ歩き出してしまう「徘徊」という行動に結実するわけです。

日本老年精神医学会の調査や現場の臨床データによると、認知症と診断された患者の実に約70〜80%が経過のどこかで何らかのBPSDを経験すると報告されています。しかし極めて重要なのは、中核症状が進行性に悪化していくのに対し、周辺症状は周囲の接し方や生活環境を整えることで「劇的に改善、あるいは消失させることが可能」という事実です。本人の行動を「病気のせいで狂ってしまった」と捉えるのではなく、「環境に適応できずに発せられた必死の適応反応」と見立て直すことが、すべてのケアの出発点となります。

林 結菜

林 結菜

ライフスタイル編集者

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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